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ロータリートランスファーマシンの特徴と構造について ―マシニングセンターと比較―

機械受注

本記事では、工作機械の中でも搬送機構を回転テーブルとすることで高精度と高い生産性を同時に実現しているロータリートランスファーマシン(ロータリーステーションマシン)について、その特徴と構造について解説します。

1.ロータリートランスファーマシン(ロータリーステーションマシン)とは何か?

工作機械には、ひとつの加工機能しか備えていないものと、複数の加工機能を備えているものがあります。ひとつの加工機能しか備えていないものが工作機械として劣っているわけでは決してありません。たとえば、マシニングセンターは、基本的に加工機能はひとつですが、ツールを交換することで、様々な加工に対応することができるマルチな工作機械です。

複数の加工機能を備えている工作機械のうち、それぞれの加工機能を独立させたものをユニットといいます。このユニットを複数台(数台から数十台まで可能)を直線上に並べて、それぞれのユニットの間を搬送機械(ベルトコンベア、リニアコンベアなど)で加工対象物を送り込むことで、連続的な加工を実現する工作機械をトランスファーマシンといいます。

このユニットを、直線上ではなくインデックスと言われる回転テーブルの周りに配置したものを、ロータリートランスファーマシン(ロータリーステーションマシン)といいます。このロータリートランスファーマシンは、連続的な加工を効率的に実現できます。また直線上に配置した場合と異なり、搬入経路と排出経路を同じ場所で実現できます。また、治具などを最初の位置に戻すなども必要なくなるため、極めて効率のよい加工機といえます。

2.工作機械(ロータリートランスファーマシンを含む)の歴史

工作機械の歴史は、産業革命まで遡ることができます。江戸末期の有力諸藩が武器製造のために主のオランダから蒸気機関による工作機械を輸入したのが、日本の工作機械の歴史の始まりと言われています。古くは江戸幕府が、1857年に長崎製鉄所に工作機械を導入したとの資料があります。

工作機械は、技術的にも産業新興的にも日本の「マザーマシン」であり必須の技術でした。その後、明治、大正、昭和と戦争時代に多くの金属加工の需要が高まり、輸入した欧米機を模倣した工作機械が各社で作られました。

1921年に開催された国産工作機械展覧会は、日本で最初の工作機械見本市です。ここでは、主に欧米品の模倣でしたが、かなり精度の高い工作機械が出品されました。その後、幾多の戦争需要や工業製品需要を経て改良され、工作機械の精度が飛躍的に上昇しましたが、世界的な発展は第二次世界大戦以後の高度成長期ということになります。

1952年にMIT(マサチューセッツ工科大学)で、数値制御NC(Numerical Control)付きの工作機械が公表されました。この時代から、数値制御の工作機械の時代がスタートします。国内でもNCに関わる多くの研究がなされ、1958年には国内では初めてのNC付きフライス盤が製造されました。

1970年代からは、日本の工作機械が世界で高く評価されるようになります。その後、NC制御は、CNC制御へと発展を遂げていきます。CNCはコンピュータ数値制御(Computer Numerical Control)のことです。

そして、1982年に日本の工作機械の生産額が世界一となります。その後、2008年まで生産高世界一を維持し続けました。2009年に生産高は、中国とドイツに抜かれます。しかし、その後ドイツを抜いて、現在は生産高第2位の状況にあります。日本の精度が高く品質が高い工作機械は、すぐに実現できるものではなく、世界中で必要とされています。

3.ロータリートランスファーマシンの構造

ロータリートランスファーマシンは、主にユニット、インデックス(回転テーブル)、治具によって構成されています。

構成自体はシンプルな構造をしています。多くの会社では、ユニットを選ぶ際には複数の選択肢があります。しかし、スピンドルの数や搭載可能なツールは、ある程度限定されています。

また、インデックスに加工対象物を固定する治具を作成しますが、この治具は加工対象物に対して特注する必要があり、マシニングセンターなどの汎用機と比較すると、転用が難しい面があります。

4.ロータリートランスファーマシンの特徴

ロータリートランスファーマシンの主な特徴は以下の点です。メリットとデメリットについて解説します。

メリット

  • 複数の加工が可能である(ユニットを増やせば15ステーションぐらいまで実現可能)
  • 加工時間(タクトタイム)を飛躍的に向上できる
  • 回転台に乗せてチャックした加工対象物を離さないため、精度が確保しやすい
  • 搬入と排出経路と同じ場所でできる
  • 同じ作業を複数台のマシニングセンターにやらせるよりも省スペースであること
  • 複数のマシニングセンターを購入するよりもコストパフォーマンスが高いこと
  • 中ロット・大ロットをこなすことで、コスト回収が早い

マシニングセンターと比較しても、ロータリートランスファーマシンが得意な部分が多くあります。加工部品によっては、ロータリートランスファーマシンを選ぶ方が、生産・コストなどの複数の面で効率が高いことが多いです。

デメリット

  • 加工物の大きさが限定されること(ユニットの可動範囲に限定される)
  • 複雑な3次元形状を切り出す加工には適さないこと(加工が限定される)
  • マシニングセンターに比べると、汎用性が低いこと

マシニングセンターと比較すると、加工の自由度と汎用性については低いです。小ロット生産はマシニングセンターで行い、中ロット・大ロット生産はロータリートランスファーマシンで行うなどの使い分けが必要となります。

5.RUBY CNC ロータリートランスファーマシン(RT-X001)の特徴

ルビー精工のRUBY CNC ロータリートランスファーマシン(RT-X001)は、クライアントの要望に合わせて既存のユニットを組み合わせるだけでなく、ユニット自体のフルカスタマイズも可能です。ロータリートランスファーマシンは、マシニングセンターと比較して汎用性が低いのが難点ですが、弊社がユニットの載せ替えを担当することで汎用性の向上を目指しています。

RT-X001の特徴

  • ユニットの自由なカスタマイズが可能(既存のユニットの組み合わせだけではなく、新しいユニットの設計も可能)
  • ユニットを載せ替えることで、汎用的な利用を実現(加工部品の変化に対応)
  • 搬入搬出部分にロボットを搭載可能(人件費の削減につながる)

金属加工はコストパフォーマンスと精度を両立する必要があり、加工部品によってマシニングセンターとロータリートランスファーマシンの適切な方を選んでいく必要があります。

>>RUBY CNC ロータリートランスファーマシン(RT-X001) 公式製品サイト

6.まとめ

本記事では、ロータリートランスファーマシンの特徴と構造について解説しました。工作機械は古い歴史があり、産業と技術の発展により大きく変化してきました。現在はCNC制御が主流ですが、さらにIoTを追加した製品も登場しています。ルビー精工もこうした新しい技術を積極的に取り入れていきます。