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日本には100社を超える工作機械メーカーがある
日本工作機械工業会によると、2015年の時点で96社の工作機械メーカーが登録されています。未登録の会社を含めると、日本には優に100社を超える工作機械メーカーが存在することになります。各社の技術水準が一定以上高いことを考えると、日本の工作機械メーカーの層はかなり厚いですね。
各社は、総合的な汎用機メーカーと、よりニッチな市場を獲得している中小企業に分けられます。
まず総合大手の企業に、世界的な企業の以下の3社が挙げられます。
- DMG森精機
- オークマ
- ヤマザキマザック
また、主にマシニングセンタを主力としている企業も多く、世界中の工場で使われています。
- 牧野フライス製作所
- ファナック
- 安田工業
- キタムラ機械
など、他にも多くのメーカーがあります。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
この中の企業は、旋盤、研削盤、放電加工など各社得意分野に特化して独自の機械を製作しています。
300を超える加工種類がある
日本標準商品分類の「金属加工機械の種類」によると、なんと300を超える加工種類が分類されています。
中小企業では、加工精度、用途、加工対象、などによって、それぞれ住まい分けをしています。近年、中国をはじめとする人件費の高騰と加工精度の高まりから、高品質化のニーズが拡大しています。つまり、低位機種から中位機種への需要が高まっているのです。これは、日本の工作機械メーカーにとっては非常に有利な状況です。一方で、台湾などの新興企業の台頭が見られます。
新興メーカーはどこにニッチな市場を探す?
基本的には、以下の市場をこまめに調べていく必要があるでしょう。つまり、今まで自動化が進んでこなかった領域、汎用機によって今までカバーされてこなかった領域、汎用機によってカバーできるにしても市場が比較的小さいため汎用機のコストを回収できない小さな市場です。また、マシニングセンターなどの汎用機を専用機化するノウハウを十分持っていない比較的小さな工場、また今まで職人の作業に頼ってきた町工場なども、今後も既存メーカーがなかなか参入してこないニッチな市場として重要です。
こう考えると、今後ニッチ市場を攻める戦略は以下のものが考えられるでしょう。
- 汎用機によって未だカバーできない特殊加工の市場
- 汎用機によってカバーできるが市場規模が小さく既存メーカが参入しにくい市場
- 汎用機によってカバーできるが、圧倒的に加工精度が早い専用機の加工を必要とする市場
上記に対して、高品質な加工精度とマシンの資金回収が比較的早くできる程度の経済性が重要
今まではこうした市場には専用機が投入されてきましたが、今後は完全な個別設計の専用機ではなく、一定程度の汎用性を持った設計によって、経済性と加工精度を両立させることが必要となるのかもしれません。